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スラーSlurをボーゲンBogenと呼ぶこと(3)

前回に、引き続きスラーをボーゲンと呼ぶというタイトルでブログを書いています。


カーン先生Prof.Kernのレッスンで、スラーをボーゲンと呼ぶ事と肩からの一つの動作で演奏するという事を習いましたが、私の場合、ピアノの奏法を留学してから本格的に変えた為、子供の頃から習慣的にこのようにフレーズに書かれているスラーを見たら、そのフレーズを一つの動きで演奏するようにと教わってきたわけではありませんでした。その為、モーツアルトのピアノソナタやコンチェルトを演奏する時に、楽譜に書かれているスラーを見たからと言って、反射的に肩から腕にかけての一つの動作で弾くという事が感覚的に出来ずにいました。


さらに、すべての先生がスラーをボーゲンと呼んで、ピアノを教えていらっしゃるわけではないので、最初はカーン先生だけがこのように教えていらっしゃるのかな?と思っていたのですが。


ある年に、モーツアルテウムのサマーアカデミーでバシキーロフ先生のクラスに参加させていただきまして、先生のレッスンにモーツアルトのA-durのソナタを持って行ったのです。


モーツアルトのA-durのソナタの一楽章は主題と変奏によって構成されていますが、主題のメロディーはとても優美で美しく、この楽章を演奏するには、ピアノでメロディーを歌う事が重要なポイントとなってきます。


でも、私はバシキーロフ先生の前でこのソナタを演奏するのに緊張していて、とても音楽を自然に歌って演奏できるような状態ではなかったのです。そんな私に向かって先生が発した言葉が、びっくりするくらいの大きな声での「ボーゲン」という一言だったのです。


作曲家がとあるフレーズにスラーを書くには、何か理由があるはずです。さらに、バシキーロフ先生はレッスンの時にSingen歌って!ともよくおっしゃっていました。実際に、ブラームスのKlavierstücke op.119を持っていた時など、あまりにも歌心がない演奏をしていると、実際に「このメロディーを歌ってみろ!」と言われて、歌わされたこともありました。


バシキーロフ先生のマスタークラスでのレッスンにおける、このような体験を通して、ボーゲンのという言葉には、もっと歌ってというメッセージもあるのではないだろうか…と私は感じるようになったのです。

 
 
 

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