Bashkirov先生のマスタークラスで聞いた話2
- Junko Nagaya
- 5月7日
- 読了時間: 2分
私が参加させていただいたBashkirov先生のマスタークラスは、Mozarteumで夏に開かれているSommerAkademieのマスタークラスでした。
私がはじめてレッスンを受講させていただいた時、Bashikirov先生はもう70歳を超えていらっしゃいましたが、マスタークラスのレッスンが終わった後、先生はピアノを演奏して下さっていました。ベートーヴェンの「月光」、シューベルト=リスト編曲Ständchen、シューベルトのImpromptu op.90-3、ラフマニノフMoment Musicaux op.16-4、シューマンのピアノ協奏曲などを聞いた覚えがあります。最後に参加させていただいた頃は、先生は80歳をすぎていらっしゃいまして、Chopinのノクターンop.9-2を演奏されていました。
参加者はロシア語が理解できる人達もいる反面、私のように英語やドイツ語しかわからない受講生も多くいたため、たいてい、先生がロシア語と英語に堪能な受講生に、先生のお話を通訳させて、私たちは先生の興味深いお話をきいていました。
その中でも、二度ほど同じ話を聞いた記憶があります。それは、先生がモスクワ音楽院の図書館でみつけた、書き込みのなされた楽譜の話でした。確か、それはハンス=フォン=ヴューローの書き込みか何かで、「誰にでも間違いはある」というような内容の話でした。
先生はその本がとても貴重な本であるため、ソ連時代はずっと自分が借りっぱなしにしておいて、自宅で保管していたと話されていた記憶があります。そして、ソ連の共産党政権が崩壊した後に、再びモスクワ音楽院の図書館に返されたそうです。
他にも、先生とリヒテルの間には未発表の往復書簡があるというお話もされていました。
このようなことも、すごく興味深いお話だと思うので、マスタークラスで聞いた直後にブログなどに書いておくべきでしたが、残念ながら、当時は先生のすごさ…というか、先生のレッスンがすごく怖かったので、先生の前で演奏することに精いっぱいで余裕がありませんでした。
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